はじめて相続の準備をする人のための相続コンサルティング
相続は必ず誰にでもやってきます。
私は財産が少ないから関係ない、と思っている人も、相続について知識を得て事前に準備することは非常に重要です。
いざ相続が起こってしまうと、悲しみの中、葬儀等を行わなくてはならず、とても相続の手続きを進めるどころでは無くなってしまいがちです。しかし様々な手続きを期限内に行わないでいると、大変なことになってしまうこともあります。
相続で争わない様にするためにも、生前に遺言書を作っておいたり、出来れば自身の財産の一覧表を作成し、評価をしておくことも必要です。
生前の相続の準備、相続が起こってからの諸手続きの進め方、特に相続財産の内、大きな割合を占める不動産の評価について、相続税が出来るだけ掛からないように小規模宅地の特例等を適用する仕方についてコンサルティングいたします。
お気軽にご連絡ください。
西川治男
ファイナンシャルプランナーAFP認定者
宅地建物取引主任者
測量士補
不動産コンサルティング技能試験合格者
日本ファイナンシャルプランナーズ協会会員
E mail: harunish@sirius.ocn.ne.jp
はじめに
相続が発生すると、まずどれ位相続税がかかるのか心配になると思いますが、国税庁の統計によると、相続税が掛かる人の割合は、毎年全体の4〜5%程度で推移しています。
被相続人から残された財産が、遺産に係る基礎控除額以下である場合は、相続税はかかりませんし、申告の必要もありません。
注)小規模宅地等の特例などを適用した結果、相続税がかからなくなった場合は申告しなければなりません。
遺産に係る基礎控除額は、「5,000万円+1,000万円x法定相続人の数」で計算されるので、例えば法定相続人が4人であれば基礎控除額は9,000万円となり、課税価格の合計額がこの値以下であれば相続税はかからないことになります。ですから不動産等の財産が多くあるか、多額な死亡保険金等をかけていなければ、大多数の人には相続税はかからないと言えます。
相続税はかからないし申告の必要もないといっても、相続人の間で遺産分割をする必要があります。この遺産分割をしなければ、相続した不動産等の名義変更のための登記等ができません。
一般的に言って、相続とは、被相続人が残してくれた財産を、相続人の間でいかに円満に分けるかと言えそうです。
相続を円満に行えるように、被相続人が生前に遺言書を残しておくことも大切な場合が多くあります。
遺言書
例えば被相続人がかなり偏った財産分与の内容の遺言書を起こした場合、相続人の間で争いが起きる可能性があります。侵害された相続人に対する相続分は、遺留分の減殺請求によりある程度は確保できますし、相続人全員が合意をすれば、遺言書の内容と異なる遺産分割をすることもできます。
遺言書を書いておいた方が良い場合としては、生前、特に被相続人に対して寄与してくれた相続人に多く財産分与したい場合や、相続人でない人に対して財産を与えたい場合、子供がいない夫婦の場合等があります。
被相続人に子が無く、配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合、遺言書で指定されていなければ、法定相続分として配偶者が4分の3、残りの4分の1を兄弟姉妹で分けることになります。その兄弟姉妹が亡くなっている場合はその子に代襲相続され、あまり付き合いの無くなった甥や姪に遺産分割協議書に印をもらうようになるかも知れません。
遺言書で、配偶者に全ての財産を相続させる旨の記載があれば、兄弟姉妹には遺留分が無いので、全財産を配偶者が相続できます。
遺言書−2
遺言書には何種類かありますが、自筆証書遺言と公正証書遺言が多く使われています。
自筆証書遺言は費用がかからずに、すぐにでも遺言を残すことができますが、作成のルールに則っていないと無効とされることもあり、遺言書の保管場所なども問題です。
公正証書遺言は、公証人役場において作成され原本が役場に保管されるので、遺言書の変造等の心配もありませんし、遺言書が無効になる心配もまずありません。
公正証書遺言の作成には費用がかかります。財産の金額によって変わりますが、3、000万円までが¥23,000、5,000万円までが¥29,000、1億円までが¥43,000です。
相続財産がある程度あり、相続人も多い場合等は公正証書遺言によることが多い様です。
相続が起こったら、自筆証書遺言書は必ず家庭裁判所にて検認の手続きを取ってもらわなければなりません。(相続人全員が立ち会う必要はありません。)
この検認の手続きというのは、遺言書の現状を保存するためのものであって、その遺言書が有効か無効かの判断を行うものではありません。ですから家庭裁判所にて検認の手続きをとった後に、その遺言書が無効となることもあるわけです。
検認を受けないことでその遺言書が無効となるわけではありませんが、検認を受けずに遺言内容を執行した場合や封印のある遺言書を家庭裁判所以外の場所で開封した場合は5万円以下の過料に処せられます。
自筆証書遺言書を作成する時は、必ず自筆で書き、年月日を入れ、住所、名前の横に印を押し、封筒に入れて同じ印で封印をすると良いでしょう。
単純承認、限定承認、相続放棄
相続が起こると、悲しみの中、葬儀、初七日等が行なわれ、四十九日もあっという間に来てしまいます。そして相続人は、相続開始から(自分が相続人になったことを知ったときから)3ヶ月以内に単純承認をするか、限定承認をするか、相続放棄をするかを決めなければなりません。
相続発生から3ヶ月経っても、何ら手続きをしなければ、単純承認をしたと見なされます。
このことはプラスの財産のみならず、マイナスの財産(負債)も全て相続するということになります。
明らかに故人(被相続者)に、財産よりも大きな負債がある場合は相続放棄をします。
家庭裁判所にその旨申述し、負債を承継しなくて済むようにできます。
負債額がどれ位あるか分からない場合は、限定承認をすることができます。これは相続財産を責任の限度として相続するということで、相続財産をもって負債を弁済した後、余りが出ればそれを相続できます。財産目録等を作成し債権者に公告をしたり、手続きが繁雑で、実際はあまり利用されていない様です。
* 相続人であることを本人が知った日より3か月以内に限定承認又は相続放棄のどちらかを選択しなかった相続人は、単純承認とみなされる(民法915条1項)。
( 限定承認については、相続人全員でしなければなりません。)
住宅ローン、借入金、保証債務も相続人に承継されます。(ただし、身元保証債務のようなあらかじめ保証額を知り得ないものは承継されません。)
被相続人にどれ位借入金、保証債務等があるのか、相続人にとって限られた期間で調べることは容易ではありません。生前に自身の財産目録や負債等について記録しておくと、後に残された相続人にとって、不安や心配が減り、遺産分割のための相続財産の評価をする際にも、多いに役立つことになります。
法定相続人とその確定
法律で決められた相続人のことを法定相続人といいます。
誰が法定相続人になるかは民法の規定に従いますが、相続人を確定するためには、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を調べる必要があります。戸籍謄本を確認していく上で被相続人が生前に子を認知していたことなどが分かる場合があります。
誰が法定相続人になるかについては、具体的には一定の法則があり以下のように決まります。
まず配偶者は常に法定相続人となります。
次に、
第1順位 子 配偶者とともに常に法定相続人となります
第2順位 父母 被相続人に子がいなかった場合に配偶者とともに法定相続人となります。
第3順位 兄弟姉妹 被相続人に子も父母もいなかった場合に配偶者とともに法定相続人となります。
の順で法定相続人となります。
順番としては法定相続人となり得るのに、その資格を失う場合もあります。
例えば、相続争いで被相続人を殺そうとしたり、遺言書を偽造したりすると自動的に相続人としての資格を失うことになります。(相続欠格)
被相続人に対して、生前に虐待や侮辱をおこなっていた場合には、被相続人が生前に、あるいは遺言で家庭裁判所に申し立てることにより、その者を相続人としての資格を失わせることができます。(廃除)
また養子縁組を行うことにより、法定相続人とすることもできます。再婚した相手の連れ子、特に孫を養子にすると、一世代飛び越えて財産を相続させることが出来ます。(しかし相続税がかかる場合は、その孫は2割加算された相続税を払うことになります。)
相続税法上でカウントされる養子の数については制限があります。これは基礎控除額をいたずらに増やす目的での養子縁組の濫用を防ぐためです。
誰が法定相続人となるのか、一度、親戚も含めた家系図を作っておくと良いでしょう。
養子制度
養子には、普通養子と特別養子があります。
相続の観点で言うと最大の相違点は、普通養子の場合は実父母との血縁関係は維持されますが、特別養子の場合は実父母との血縁関係は終了することです。
ですから普通養子の場合は、実父母と養親双方の相続ができますが、特別養子の場合は実父母との相続はできなくなります。
特別養子は普通養子と異なり、戸籍の続き柄欄には長男、長女のように記載がされ、養子とは記載されません。特別養子であることがすぐに分からない様になっています。
養子縁組をすると子の数が増えるので、前に述べた様に、財産に係る基礎控除額(5,000万円+1,000万円x相続人の数)や生命保険金、死亡退職金の非課税額が増えることになり、その結果相続税額が少なくて済んだり、相続税が掛からなくなることもあります。
相続税対策としての養子縁組を制限するために、相続税法上、実子が有る場合は養子の数は一人、実子が無い場合は養子の数は二人までとカウントされる数が決められています。
注)しかし、以下の場合については、養子の数の制限はありません。
1)特別養子となった者
2)被相続人の配偶者の実子で、被相続人の養子となった者
3)代襲相続で被相続人の養子となった者
等
代襲相続
代襲相続とは、例えば相続が発生した時に本来相続人になるべき子供などが、被相続人が亡くなる以前に既に亡くなっている場合に(被相続人と同時死亡の場合を含む)、その子供(被相続人にとっての孫)が代わって相続する権利を引き継ぐ制度のことをいいます。
(代襲相続した場合の相続分は、本来の相続人の相続分となります。)
この他、被相続人によって廃除された推定相続人の子や相続欠格事由に該当した子の子供たち(相続人にとっての孫)も代襲相続する権利があります。これは本人たち(孫たち)には何ら責任が無いからです。
しかし相続放棄をした子の子(相続人にとっての孫)には、代襲相続する権利がありません。
相続放棄した場合、初めから相続人ではなかったと見なされるためです。
代襲相続する権利は、被相続人の子供の場合(直系卑属)は、孫・曾孫・・・と、続きますが、兄弟姉妹の場合は、一代まで(甥・姪)しか代襲相続出来ません。
養子については、子の出生の時期がポイントになります。
被相続人と養子縁組する前に生まれた養子の子は代襲相続出来ませんが、
養子縁組後に生まれた養子の子は代襲相続出来ることになります。
相続分
相続分は被相続人が遺言によって指定することができますが、遺言が無い場合は民法に定める法定相続分によって分けることになります。
法定相続分は以下のようになっています。
1)相続人が配偶者と子の場合
配偶者 二分の一
子 二分の一
2)相続人が配偶者と直系尊属の場合
配偶者 三分の二
直系尊属 三分の一
3)相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合
配偶者 四分の三
兄弟姉妹 四分の一
注1)子のなかに認知された非嫡出子がいる場合は、相続分は嫡出子の二分の一となります。
注2)兄弟姉妹のなかに半血兄弟(父母の一方のみが同じ兄弟)がいる場合は、相続分は全血兄弟の二分の一となります。
注3)養子は嫡出子として扱われます。
相続人で無い人に対して財産をあげたい場合は、遺言書に記載するか、遺贈、死因贈与などの方法があります。
遺贈と死因贈与
被相続人が、遺言によって自分の財産を与えることを遺贈と言います。
遺贈を受ける者(受遺者)は、相続人でも相続人でなくても構いません。
この場合、ある特定の財産を与えることを特定遺贈といいます。
また、全財産の四分の一を与えるというように全体からの割合を示してするのを包括遺贈といいます。
包括遺贈の場合でこれを放棄する場合は、相続人の相続放棄と同じ手続きをとらなくてはなりません。適法な放棄をしなければ、被相続人に債務があった場合、その債務についても同じ割合で負担しなければならなくなります。ですから包括受遺者は遺産分割協議にも参加します。
特定遺贈の場合は債務を負担する義務はありません。受遺者は意思表示をするだけで拒否することもできます。
死因贈与は、自分が死んだらこの財産をあげる、という様に贈与者の死亡によって効力が発生します。これは贈与の一種ですから当事者同士の合意が必要となります。
これとは反対に、遺贈は遺言者からの一方的な意志表示ですから、受遺者の承諾は不要です。
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